イギリスの殺人ドッキリ番組「ダレン・ブラウン:ザ・プッシュ」Netflixオリジナル
あらすじ
心理を巧みに操ることで、いとも簡単に善良な一般人に恐ろしい行動を取らせることができる。
帰属欲求は人間の性質の中心となるもの。
だが、その欲望の限界はあるのか?
周りに合わせるために、人はどこまでできるのか?
メンタリストのダレン・ブラウンが行った大胆な社会実験の全貌とは。
作品概要
イギリスのメンタリストでマジシャンのダレン・ブラウンが仕掛けるリアリティ番組で、イギリスの公共放送であるチャンネル4で制作され、Netflixオリジナルとして配信されています。
リアリティ番組より、日本ではドッキリ番組と言った方が近いかもしれません。
ザ・プッシュは『人は社会的な圧力を受けると殺人を犯してしまうのか』というテーマで、参加者にドッキリを仕掛けます。
日本では到底受け入れられなさそうなテーマですが、日本のドッキリと違うのはそれだけではありません。
ドッキリの仕掛けが余りにも大掛かりかつ手が込んでいて、日本のテレビ番組のドッキリが遊びに思えるほどです。
まず仕掛け人の数が70人以上で、その全員がこの番組のために練習を重ねた俳優・女優です。
また、騙される参加者だけが「ザ・プッシュ」をチャリティ企画だと思っているのですが、わざわざ著名人のビデオメッセージを用意してチャリティ企画に信憑性を持たせます。
そしてなんと、ドッキリの流れで死ぬことになる仕掛け人の”死体”を、特殊メイクなどを駆使して本当に作ってしまいます。
それも、骨格を用意してその上に肉付けしていくので、触ったときの感触や重さすらも本物と同じという異様な凝りっぷりです。
番組は、仕掛けにまんまと引っかかっていく参加者の様子を映しながら、ダレン・ブラウンがそれに解説を入れていくという流れで進みます。
ダレン・ブラウンはイギリスでは心理学を駆使した番組制作で有名な人気タレントで、「ザ・プッシュ」の他にも色々な社会実験を行っています。
そのなかの一つに「あなたは子猫を殺せるか?(Could You Kill a Kitten?)」というものがあり、YouTubeにもその様子は公開されています。
逆心理学(Reverse Psychology)と呼ばれる心理テクニックを使って、参加者の女性に子猫を殺すよう仕向けます。
なんとこの動画では、最終的にダレン・ブラウンは女性に子猫を殺させることに成功します。
もちろん仕掛け上の話で実際には子猫に害はないのですが、心理学を使えば、道徳的に間違っていることを本当は最良の選択肢かもしれないと思わせることができると証明されたことになります。
もちろん「ザ・プッシュ」でも実際の殺人は起きません。
「ザ・プッシュ」では、参加者は周りに流されて、だんだんと自分の意志に反した行動をするようになり、仕掛け人の言うことに従うようになっていきます。
テーマと仕掛けの規模が壮大なだけに、ドッキリというよりもはや社会実験といった様相です。
ラストには衝撃の結末が待っているのですが、それがまたイギリスらしい皮肉の利いた何とも言えないものになっています。
とても1時間とは思えない内容の濃い番組なので、時間のある方はぜひ視聴することをオススメします。
原題「Derren Brown : The Push」
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